価格競争かかくきょうそう
価格競争とは、企業が市場シェアの獲得・維持のために、価格の引き下げを主な手段として競い合う状態です。製品の同質化が進んだ市場で起こりやすく、業界全体の利益率を低下させ、体力の乏しい企業から撤退を迫られる消耗戦になりがちです。
定義
価格競争とは、品質・機能・サービスなどでの差別化ではなく、価格の安さを主戦場として企業同士が顧客を奪い合う競争状態です。商品が同質化(コモディティ化)し、顧客の選択基準が価格に集中したときに発生しやすく、一社の値下げに他社が追随することで、業界全体の価格水準が段階的に切り下がっていきます。
激化した価格競争は「価格戦争」とも呼ばれ、規模の経済で優位に立つ大手か、圧倒的な低コスト構造を持つ企業以外は利益を確保できなくなります。ガソリン、家電量販、牛丼チェーンなどで歴史的に観察されてきた現象です。
なぜ経営で重要か
価格競争の怖さは、値下げの利益インパクトの大きさにあります。利益率の低い事業では、わずか数%の値下げが営業利益の大半を消し去ることがあり、それを数量増で取り返すには大幅な販売増が必要です。さらに一度下げた価格を戻すことは難しく、下げた価格が顧客の「基準」になってしまいます。値下げは最も簡単で、最も高くつく競争手段です。
株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の考え方では、価格競争は「価値をつくる努力を価格を下げる努力で代替している状態」と捉えます。顧客のニーズの裏のニーズを捉えた価値、たとえばリスク軽減価値や感動価値を提供できれば、価格以外の選択基準を顧客の中につくることができ、それが価格競争から抜け出す唯一の持続的な道だとされます。
よくある誤解
「安くすれば顧客のためになる」とは限りません。過度な価格競争は品質低下、サービス縮小、供給者の撤退を招き、長期的には顧客の選択肢を奪います。また、低価格戦略と価格競争は別物です。徹底したコスト構造の裏付けを持つ戦略的な低価格と、対抗上やむなく追随する値下げでは、持続可能性がまったく異なります。
実務での問い
直近の値下げは、戦略として選んだものでしょうか、それとも競合への反応だったでしょうか。値下げ分の原資で価値向上に投資していたら何ができたかを試算すると、次の打ち手の優先順位が変わるかもしれません。