コスト転嫁こすとてんか
コスト転嫁とは、原材料費・エネルギー費・人件費などのコスト上昇分を販売価格に上乗せし、取引先や消費者に負担してもらうことです。値上げの根拠をコストに置く価格改定であり、日本では「価格転嫁」とほぼ同義で使われます。
定義
コスト転嫁とは、仕入価格や人件費などの上昇分を自社で吸収せず、販売価格に反映させることです。企業間取引では「価格転嫁」とも呼ばれ、原価上昇局面では取引の適正化の観点から、発注側が受注側の転嫁要請に応じることが政策的にも促されています。
コスト転嫁の特徴は、値上げの根拠が「自社のコスト」にあることです。顧客にとっての価値が変わらないまま価格だけが上がるため、値上げ幅はコスト上昇分の範囲にとどまりやすく、顧客への説明も「原材料高のため」という受け身のものになりがちです。
なぜ経営で重要か
コストが上がっているのに転嫁できなければ、利益は直接削られます。中小企業では労務費や原材料費を十分に転嫁できないことが賃上げの制約になっており、転嫁交渉力は企業の存続に関わります。一方で、コスト転嫁は利益率を維持するための防衛策であって、利益を増やす攻めの打ち手ではない点も押さえる必要があります。
よくある誤解
コスト転嫁と価値転嫁の混同がよくある誤解です。コスト転嫁は「自社の事情」を根拠にした値上げであり、顧客が得る価値は増えていません。これに対し価値転嫁は、顧客が得る価値を根拠に価格を見直す考え方です。また「値上げ=顧客離れ」と単純に考えるのも誤解で、影響は商品の価格弾力性や代替品の有無によって大きく異なります。
実務での問い
直近の値上げ交渉で、自社は「コストが上がったから」以外の根拠を示せたでしょうか。次の価格改定までに、顧客が得ている価値を語れる材料をどれだけ用意できるかが分かれ目になります。
本用語集は、株式会社カクシンが付加価値経営の視点で編纂しています。