
ユナイテッド航空、プレミアム席が成長を担う構造
2026年第1四半期、プレミアム関連収入は前年比13.6%増。座席供給の伸びは4.4%にとどまり、単価が上昇。座席数ではなく「過ごし方」に値段をつける構造転換が進んでいます。
座席は数と搭乗率で管理され、単価は市況任せになっている
上位の過ごし方が設計され、払いたい顧客に選ばれて単価が上がっている
何が起きたか
ユナイテッド航空が2026年4月22日に発表した第1四半期決算で、プレミアムキャビン関連の収入が前年比13.6%増となりました。プレミアム座席の供給拡大は4.4%にとどまり、単位あたり収入(RASM)は8.9%上昇。供給の伸びを上回って単価が上がる、価格戦略として理想的な形です。
顧客は誰で、何に困っているか
顧客は、時間と体力を投資と考えるビジネス客、そして「旅は移動した瞬間から始まっている」と考える余暇旅行者です。彼らの困りごとは、運賃の安さではありません。長時間フライトでの疲労、仕事ができない環境、窮屈さによる旅の質の低下です。運賃比較サイトでは見えないこの「機内で失われる価値」に対して、確実にお金を払う層が存在する。米国では旅行需要が二極化し、支出を増やせる層とそうでない層の差が広がっていると報じられており、ユナイテッドは前者に照準を合わせています。
付加価値の構造──同じ距離を飛んで、違う価値を売る
航空座席はコモディティ化の代名詞でした。同じ出発地と目的地なら、あとは価格だけの勝負になる──この構造から抜け出す方法が、機内という「時間と空間」の再設計です。同社は3月、エコノミー席を減らしてプレミアム席に置き換える機材改修を進めると報じられました。フルフラットシートを備えた機材の導入も続きます。
- 座席数と搭乗率で稼ぐ
- 値下げで席を埋める
- 過ごし方の質に値段をつける
- 払いたい顧客に上位の選択肢を増やす
機能はより広い座席と専用サービス。便益は、眠れる、働ける、疲れない。価値は「到着後の自分のコンディション」です。輸送(A地点からB地点へ)はどの航空会社でも同じですが、到着したときの状態には差がつく。ここに価格差の根拠があります。
値決めへの接続
重要なのは、プレミアム化が「値上げ」ではなく「選択肢の増設」として実行されている点です。エコノミーの価格を上げれば顧客は競合に流れますが、上位クラスの席を増やすことは、払いたい顧客に払う場所を用意することです。供給4.4%増に対し収入13.6%増という数字は、その席が値引きなしで埋まっていることを示唆します。単価は市況が決めるものではなく、機内の設計図が決める──座席というハードの配分そのものが、値決めの手段になっています。
今日の問い
あなたの会社の商品ラインナップに、「払いたい顧客が払える上位の選択肢」はあるでしょうか。全顧客への値上げは難しくても、一部の顧客が喜んで選ぶ上位版を設計することはできます。あなたの事業における「フルフラットシート」は何でしょうか。
本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。


