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スープストック、スープを消す2日間の価値

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スープストックトーキョーは6月26・27日、全店からスープを消してカレー専門店になる「Curry Stock Tokyo」を今年も開催。11年続く「祭り」が顧客との関係と価格の納得を支えます。

現状

定番を安定して提供することが優先され、遊びのある企画は後回しになっている

理想

年に一度の非日常が指名来店を生み、ブランドへの愛着が価格の納得を支えている

何が起きたか

スープストックトーキョーは2026年6月26日(金)・27日(土)の2日間、ほぼ全店でスープの提供を止め、カレー専門店「Curry Stock Tokyo」に変身します。今年で11年目を迎える恒例企画で、「Something Yellow!」を合言葉に開発した新作3種を含む7種のカレーを展開。「カレーとカレーのセット」(組み合わせは21通り)など、この2日間しか頼めないセットも用意されます。

顧客は誰で、何に困っていたか

スープストックトーキョーの顧客は、日常の食事に「ちゃんとしたもの」を求める働く生活者です。同店はその期待に定番のスープで応えてきましたが、日常使いのブランドには宿命があります。安心はやがて当たり前になり、当たり前は語られなくなる。顧客の潜在的な欲求は、信頼している店にこそ「驚かせてほしい」「一緒に楽しませてほしい」というものです。機能的な満足の先にある、ブランドと遊ぶ関係が求められていました。

付加価値の構造──「らしくないこと」を、らしくやる

看板商品を自ら消すのは、普通に考えれば売上機会の放棄です。しかしこの企画では、その欠落こそが価値の源泉になっています。機能は、2日間限定でスープを止めてカレー7種を提供すること。便益は、年に一度しか出会えない献立と、常連ほどニヤリとできる「事件」感。価値は、ファンと店が一緒に盛り上がる祭りの時間です。

定番で信頼を積む日常
  • いつ行っても同じ安心が価値
  • 来店理由は習慣に委ねられる
定番を止めて生む非日常
  • 今日しか会えない特別が価値
  • 来店理由をブランドが仕掛ける

しかも中身は余興ではありません。スープ専門店が出汁や素材の技術で仕立てる本気のカレーであり、毎年新作を積み増して7種に育ててきました。「らしくないこと」を「らしい品質」でやり切るから、企画はブランドの毀損ではなく深化になる。11年続いていること自体が、この祭りが顧客との年中行事として定着した証拠です。

この事例の感動価値

スープ専門店からスープがなくなる——本来なら「事件」であるはずの2日間を11年続く夏の祭りに変え、顧客は年に一度の非日常を心待ちにして来店します。

値決めへの接続

同社は2026年5月27日、原材料価格の高騰を受けて一部商品の価格改定を実施しています。値上げとお祭りは無関係に見えて、実は同じ構造の上にあります。顧客がこのブランドに払っているのは、一杯の原価ではなく、日常を丁寧に扱ってくれる姿勢と、ときどき一緒に遊んでくれる関係への対価です。体験と関係の蓄積は、価格改定の局面で「この店なら仕方ない、応援したい」という納得に変わる。ファンとの祭りは、長期的には値決めの自由度を広げる投資と考えられます。

今日の問い

あなたの会社には、顧客と一緒に楽しむ「年中行事」があるでしょうか。定番の信頼に、年に一度の非日常を掛け合わせたとき、ブランドは語られる存在になります。自社の「らしくないこと」を、らしい品質でやるとしたら何ができるか、考えてみてください。

本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。

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