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外食6月、客数が伸びずに売上が増えた訳

外食・サービス客単価値決め外食業態設計調査

2026年6月の外食売上は前年同月比3.3%増。うち客数は0.8%増にとどまり、客単価が2.4%増で売上を支えました。台風と曜日回りで客足が読めない月に、伸びた業態と伸びなかった業態を分けたものは何かを読み解きます。

現状

客数が落ちた月は、売上も落ちるものだと受け止められている

理想

客数が動いても、客単価が売上を支える形ができている

何が起きたか

日本フードサービス協会が発表した2026年6月度の外食産業市場動向調査によると、会員企業の全店売上は前年同月比3.3%増。内訳は客数が0.8%増、客単価が2.4%増でした。売上の伸びの大半を、客単価がつくっています。

6月は台風の接近が繰り返され、土日の少ない曜日回りも重なりました。前年が乾燥した天候だったこととの比較もあり、雨天日を中心にファミリーレストランや飲酒業態で客足が伸び悩んでいます。

2026年6月 業態別の外食売上(前年同月比)(%(前年同月=100))
105.1 ファストフード 103.9 ディナーレストラン 100.6 喫茶 100.5 ファミリーレストラン 99.9 パブ・居酒屋
出典: 日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査 2026年6月度

業態別では、ファストフードが5.1%増、ディナーレストランが3.9%増、喫茶が0.6%増、ファミリーレストランが0.5%増、パブ・居酒屋が0.1%減。同じ月、同じ天候のもとで、5ポイント以上の差がついています。

顧客は誰で、何に困っていたか

この調査を「天候の話」として読むと、経営の学びが残りません。天候は全業態に等しく降りかかった条件です。同じ条件のもとで結果が分かれたのなら、差は業態側の構造にあります。

外食の顧客の困りごとは、月によって変わりません。変わるのは、その困りごとを解決する手段として「外で食べること」が選ばれる回数です。雨が降れば、家で済ませるという代替手段が強くなる。ここで問われるのは、「行かなくても済む」と判断されたときに、その顧客との関係が何も残らないかどうかです。

ファストフードの内訳を見ると、和風が8.1%増、洋風が5.7%増、麺類が4.3%増、その他が6.1%増と揃って伸び、持ち帰り米飯・回転寿司は1.1%減。ファミリーレストランでは洋風が1.9%増、中華が0.1%増の一方、焼き肉が0.5%減、和風が1.4%減。同じ大分類のなかでも、10ポイント近い開きがあります。 天候ではこの差は説明できません。

付加価値の構造──客単価は、値上げの結果ではない

客単価が2.4%上がった、という数字は二通りに読めます。値上げをしたから上がった、という読み方と、顧客が一回あたりに多く注文するようになったから上がったという読み方です。

前者だけであれば、いずれ客数の減少で相殺されます。しかし6月は客数もわずかに増えています(0.8%増)。値上げが客数を押し下げていない、という状態です。

機能
一皿・一杯あたりの内容や提供の形を見直し、価格を引き上げる
便益
来店回数が天候や曜日で変わっても、一回の満足度が下がらない
価値
「行く回数は減っても、行くならここ」という選ばれ方に変わる

ディナーレストランの3.9%増は、この構造を考えるうえで示唆的です。単価の高い業態は、天候が悪い日にもっとも打撃を受けそうに見えます。わざわざ出かける必要があるからです。それでも伸びたのは、この業態の顧客が「安いから行く」で来店していないからだと考えられます。誰かとの時間、記念日、接待——来店の理由が価格の外側にあるとき、雨は理由を消しません。

対してパブ・居酒屋の0.1%減は、天候と曜日回りの影響を最も強く受けた結果と報告されています。客数依存度が高い業態は、来店機会そのものが減ると、単価では埋めきれません。

客数を前提に売上を組む形
  • 客足が落ちた月は、売上も落ちる
  • 客数を戻すために、割引や販促に頼る
  • 天候・曜日が業績の説明になる
客単価を前提に売上を組む形
  • 客足が落ちた月でも、一回あたりの単価が売上を支える
  • 来店した人に何を足すかで、単価を設計する
  • 天候・曜日は客数の説明にとどまる

ここから読み取れるのは、客単価の高さそのものではなく、単価の根拠がどこにあるかです。「量が多いから高い」「品数が多いから高い」であれば、来店回数が減った分はそのまま売上減になります。「その体験のためにわざわざ行く」であれば、回数が減っても一回の価値は落ちない。単価の根拠が体験側にある業態が、条件の悪い月に強く出ています。

値決めへの接続

回収の形は、値上げによる単価上昇です。ただし、この月のデータが示しているのは「値上げが通った」という話にとどまりません。値上げが通ったうえで客数も減っていない業態と、値上げの余地が乏しく客数変動に売上を委ねている業態が、はっきり分かれたということです。

外食以外の業界でも同じ構造が起きています。引き合いの件数が読めない月に売上が崩れる会社と、崩れない会社の違いは、営業努力の量ではありません。一件あたりの単価が、何を根拠に決まっているかです。値引き前提で件数を積む設計であれば、件数が減った月は打つ手がありません。一件あたりに載せる価値を設計していれば、件数が減っても売上の落ち方が変わります。

そして、値上げを検討するときの判断材料もここにあります。客単価を2.4%上げて客数が0.8%増えたという6月の数字は、値上げが客離れを招くかどうかは、値上げ幅ではなく「来店の理由が価格かどうか」で決まることを示していると考えられます。

今日の問い

あなたの会社の売上は、件数と単価のどちらで説明されているでしょうか。

先月の売上が前月と違った理由を、「引き合いが少なかった」「担当が動けなかった」と件数で説明しているなら、単価はまだ設計されていない可能性があります。顧客が自社を選ぶ理由が価格の外側にあるなら、その理由に値段をつけられているか。 一件あたりの単価を、いま何の根拠で決めているでしょうか。

参考: 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2026年6月度」/流通ニュース(https://www.ryutsuu.biz/sales/s072812.html)

本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。

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