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スタバ30周年、「探す体験」を売る値決め

外食・サービスカフェ体験価値プレミアム限定商品

スターバックスは日本上陸30周年で歴代名作を進化させた5種のフラペチーノを発売。1店舗で出会えるのは1種類だけ。「探す、見つける」仕掛けが、一杯の飲料を体験に変えています。

現状

新商品は全店同時に投入され、価格は原価と競合を基準に決めている

理想

出会い方の設計そのものが商品となり、体験が価格の根拠になっている

何が起きたか

スターバックス コーヒー ジャパンは2026年4月8日、日本上陸30周年を記念した「THE STAR フラペチーノ」5種を発売しました。歴代の名作を進化させたラインアップで、価格は店内利用のTallサイズで700〜750円。最大の特徴は販売方式です。全国の店舗(一部を除く)で、1つの店舗が扱うのは5種類のうち1種類のみ。どの店で何に出会えるかは、行ってみなければわかりません。

顧客は誰で、何に困っていたか

顧客は、スターバックスを「コーヒーを買う場所」ではなく「ちょっとした楽しみの時間」として使う生活者です。新作フラペチーノは毎シーズン話題になりますが、情報が事前に出そろい、どの店でも同じものが買える状態では、体験は「飲んで、写真を撮って、終わり」になりがちです。顧客の潜在的な渇きは、商品そのものより「自分だけの発見」や「人に話せる物語」にあります。SNSの時代、語る素材のある体験こそが求められています。

付加価値の構造──不便が価値に変わる設計

冷静に見れば、「欲しい商品が近所の店にあるとは限らない」のは不便です。しかしこの企画では、その不便が価値の心臓部になっています。機能は5種の限定フラペチーノ。便益は、店を巡って探す宝探しの楽しさ。価値は、見つけた瞬間の喜びと、5種制覇や偶然の出会いを誰かに話したくなる物語です。

機能
歴代の名作を進化させた5種の限定フラペチーノ
便益
どの店で何に出会えるかわからない宝探し
価値
見つけた喜びと、誰かに話したくなる物語

つまりスターバックスが設計したのは飲料のレシピだけではなく、「出会い方」そのものです。同じ商品でも、全店一斉に並べれば単なる新作、1店舗1種類にすれば探索の対象になる。商品を変えずに体験の濃度を変える──これは追加原価がほとんどかからない付加価値づくりと言えます。

この事例の感動価値

全国の店舗で、1つの店舗で出会えるフラペチーノはたった1つ。「探す、見つける」という行為そのものを商品に組み込み、一杯のドリンクを宝探しの体験に変えています。

値決めへの接続

Tallサイズ700〜750円という価格は、コーヒー1杯の相場から見れば高価格帯です。しかしこの値段が支払われる対象は液体ではなく、30年分の記憶と結びついた名作の再解釈であり、探して見つけるプロセスを含む体験全体です。体験の入口としての一杯に値段がついているからこそ、価格比較の土俵に乗りません。値上げでも値下げでもなく、「価格の意味づけ」を変えることで単価を支える手法は、多くの業界で応用可能と考えられます。

今日の問い

あなたの会社の商品は、顧客とどんな「出会い方」をしているでしょうか。スペックや価格表の前に、顧客が発見し、選び、誰かに話したくなる道筋が設計されているか。商品を変えずに体験を変える余地が、まだ残っていないか探してみてください。

本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。

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