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チョコザップ、会員数に頼らず利益を出す構造

サービス業フィットネス収益構造サブスクリプション

RIZAPグループの2026年3月期は営業利益110.86億円と前期比488.9%増。chocoZAPは会員数の拡大に依存せず、運営品質とコスト最適化で収益化しました。規模から質へ、成長の軸足を移した決算です。

現状

売上の成長を、会員数の増加だけに頼っている

理想

既存顧客の体験の質が、利益率として回収されている

何が起きたか

RIZAPグループは2026年5月14日、2026年3月期決算を発表しました。売上高は1,672.57億円(前期比2.2%減)ながら、営業利益は110.86億円と同488.9%増。期末配当0.67円の復配も決定しました。主力のchocoZAP事業は、会員数の拡大に依存せず、出店・広告費の抑制と業務プロセスの効率化で収益性を高めたと説明されています。

chocoZAP 会員数の推移(万人)
135 ピーク時 111.3 2026年2月
出典: RIZAP発表・Business Insider Japan

顧客は誰で、何に困っていたか

chocoZAPの顧客は、本格的なジムには気後れするものの、健康や体型が気になる生活者です。月額3,278円・コンビニ感覚という設計は「運動を始めるハードルが高い」という潜在ニーズに応え、会員数はピーク時135万人まで拡大しました。ただし急拡大の裏で、マシンの故障や設備の不具合といった、日常的に通う場所としての基本品質が課題になります。低価格ジムの顧客が本当に困るのは、料金ではありません。「行ったのに使えない」という体験の裏切りです。

付加価値の構造──成長の軸足を「規模」から「体験の質」へ

今期の決算で注目すべきは、会員数が減るなかで利益が大きく伸びた点です。会員数のピークからの減少には株主優待制度終了に伴う無料会員の減少が影響したと報じられており、同社は新規獲得の追求よりも、定期巡回スタッフの配備によるマシン故障・設備不具合への対応コスト抑制など、運営品質の改善に力点を移しました。

会員数の拡大で成長する
  • 出店と広告で規模を追う
  • 退会を新規獲得で埋める
1店舗の収益性で成長する
  • 巡回スタッフで運営品質を磨く
  • 続けやすさで会員価値を高める

つまり、機能への投資対象が「新しい店舗」から「今ある店舗がきちんと使える状態」に変わったのです。便益は、いつ行ってもマシンが使えるという当たり前の安心。価値は、月3,278円の習慣を続けられることです。低価格サービスの付加価値は、豪華さではなく「裏切られない体験」に宿ります。

値決めへの接続

低価格サブスクリプションの利益は、値上げよりも先に「解約されないこと」と「運営コストの構造」で決まります。今期の営業利益488.9%増は、価格を変えずに、獲得コストと運営コストの両方を最適化して利幅を生み出した結果です。会員数という規模の指標から、1店舗あたりの収益性という質の指標へ。売れる仕組みができた後に、儲かる構造へ組み替える──拡大期の次の局面に入ったサービス業にとって、順序の教科書といえる決算だと考えられます。2026年3月に発表された女性専用店舗などの新施策の検証も、既存会員の体験を深める方向への投資といえます。

今日の問い

あなたの会社の成長は、顧客数の増加だけで説明されていないでしょうか。既存顧客の体験の質──約束したことが毎回きちんと果たされているか──は、広告費よりも安く、解約率と利益率に直接効きます。新規獲得に使っている費用の一部を「裏切られない体験」への投資に回したら、利益の構造はどう変わるか。数字で確かめてみてください。

本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。

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