世界のニュースを、付加価値のレンズで読み解く ─ 株式会社カクシン

メドレー、医療の採用難を成長に変えた構造

サービス業医療人材プラットフォーム

メドレーの2026年12月期第1四半期は売上高101.89億円、前年同期比25.2%増。医療・介護事業者の「人が採れない」という構造的な困りごとを、採用から定着までの基盤に変えたことが成長の源泉です。

現状

人材の充足を、欠員が出るたびの採用費で買い続けている

理想

採用・育成・定着の仕組みが、経営の安定として値づけされている

何が起きたか

メドレーは2026年5月13日、2026年12月期第1四半期決算を発表しました。売上高は101.89億円(前年同期比25.2%増)、EBITDAは6.31億円(同48.1%増)。事業拡大への投資を積極化しつつ、通期では売上高464億円(前期比26.1%増)、営業利益29.5億円(同37.2%増)を見込んでいます。

顧客は誰で、何に困っていたか

顧客は、医療機関や介護事業所の経営者・採用担当者です。高齢化で医療・介護サービスの担い手への需要は増え続ける一方、働き手の確保は年々難しくなっています。彼らの困りごとは「求人を出しても応募が来ない」という顕在ニーズにとどまりません。採用できても定着しなければ、教育コストが繰り返し発生し、現場の負担が増し、サービスの質を保つことが難しくなる。つまり本当の困りごとは、採用単体ではなく「人材が充足し続ける状態をどうつくるか」にあります。この困りごとは景気に左右されず、むしろ時間とともに深くなっていく種類のものです。

付加価値の構造──「一回の採用」から「充足し続ける仕組み」へ

メドレーは、医療介護に特化した採用システム「ジョブメドレー」に加え、オンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」、医療機関向けの「CLINICS」などを展開しています。第1四半期の成長は、人材プラットフォームと医療プラットフォームの双方で顧客基盤が広がった結果です。

都度の採用活動
  • 欠員が出てから求人を出す
  • 入職後の育成が現場任せになる
採用から定着までの基盤
  • 常に自院・自施設に合う人材とつながる
  • 研修が仕組みとして回り定着につながる

構造を分解すると、機能は医療介護に特化した採用と研修のシステム。便益は、人が採れて、育ち、辞めにくくなること。そして価値は、人手不足の環境でもサービスを止めない経営の安定です。欠員が出るたびに採用費を払う「都度の出費」を、充足し続けるための「基盤への投資」に置き換えたことが、この事業の付加価値の核だと考えられます。

機能
医療介護に特化した採用と研修のシステム
便益
人が採れて、育ち、辞めにくくなる
価値
人手不足でもサービスを止めない経営の安定

値決めへの接続

25%を超える増収を続けながら、あえて営業損失(6,700万円)を許容して投資を先行させている点に、同社の値決めの構造が表れています。顧客にとって採用・研修の基盤は、一度組み込めば手放しにくく、利用が続くほど価値が蓄積するサービスです。目先の利益より顧客基盤の拡大を優先し、将来の継続収益で回収する。通期で営業利益37.2%増を見込めるのは、この「基盤としての値づけ」が機能している証左といえます。単発の成果報酬ではなく、経営の安定という継続的な価値に価格がついているのです。

今日の問い

あなたの会社のサービスは、顧客の「都度の出費」でしょうか、それとも「手放せない基盤」でしょうか。顧客の困りごとを一回ごとに解決して対価をもらうのか、困りごとが起きにくい状態そのものを提供して継続的に対価をもらうのか。同じ能力でも、値決めの構造はまったく変わります。自社の売り物を「状態」として再定義できないか、考えてみてください。

本記事は、株式会社カクシンが提唱する付加価値経営の視点でニュースを解説するものです。

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